もやもや雲

漠然としたもやもやをできるだけシンプルに

僕が生にしがみつく理由

僕は1度命を捨てた

いや正確に言えば3度だ。

1度目は線路の上にずっと座っていた。
1時間ほど座っていたのだけれど、夜中だったので電車は通らなかった。

2度目・3度目はホームを歩いている時に、急行電車が駅に入ってきた。
「あぁ…今こっちに倒れたらもう楽になるんだなぁ」
と、倒れ込もうと思った。

その時にふと目の前に当時の彼女の顔が浮かんだ。

「いかん!この人を悲しませてはいけない」

そう思って踏みとどまった。

当時の彼女は僕の命の恩人だ。
そこからは僕は彼女の為にがむしゃらになった。彼女の恩に報いる為に。

仕事も必死で行った。
うつ病を引きずりながら。
必死だった。これはただの言い訳だ。

僕は必死になるあまり、彼女への優しさを忘れてしまった。とんでもないロクデナシだった。

彼女は僕から離れていった。
3年も同棲したのに。
周りとも結婚の話までしていたのに。
あっさりだ。
終わる時は。

それでも僕は必死だった。
ここで挫けたら彼女が悲しむ。
頑張れば喜んでくれる。
もしかしたらもう1度やり直せるかもしれない。

そこから3年経った。
成長した部分もある。確実に。

結果を残せていない部分もある。情けない話。

つい先日、3年ぶりに会えるかもしれないというチャンスがあった。

だが彼女は僕には会いたくないらしい。

変わった姿を見て欲しかった。
「ありがとう」と言いたかった。

言ってどうなるものでもないし、完全に自己満足なんだけれどそうしないといけない必要性に僕は縛られている。

僕はただ彼女に「変わったね。頑張ったね。」と言って欲しいだけなんだ。
ただそれだけの為に生きてるんだ。
これからの人生もそれは変わらないのかもしれない。

僕はもう半分死んでいる。
半分は彼女によってできている。

彼女の恩に報いたい。
よりを戻そうと思ってるわけではない。
ただ成果を見せて「ありがとう」を言いたい。でもまだ成果を完全には残せていない。

僕は神を信じてはいないが、佐藤二朗風の神様が
「おめぇ今の状態で変わったねって言ってもらえるわけねーだろ。バーカ。」
と言ってる気がする。

まだまだ足りない。
もっと胸張って会えるように。

これがクズな僕が「いっぱしの大人」の枠に爪先だけひっかけて、しがみついている理由だ。

もちろん彼女は僕の成長とか結果とかどうでもいいと思う。

でもそんなことはどうでもいい。
これは僕の問題だ。
僕が何の為に生きているかだ。

人生で唯一、心を開いて
人生で一番辛い時期を支えてくれて
人生で一番笑わせてくれたあの人に

「ありがとう」

を、言いたい。